
“パパ社員”の育児休暇 Interview #1
夫婦でつないだ育児のリレー
分析開発部
澤田石(休暇期間:4ヶ月)

ARCALISでは、一人ひとりが自分らしい働き方を実現できるよう、さまざまな制度を整えています。そのなかでも育児に関する制度はとても充実していて、家庭と仕事を両立するためのサポートが幅広く用意されています。今回は、実際に制度を活用した社員たちに、感想を伺いました。
分析開発部でmRNA医薬品の研究に携わる澤田石さんは、ARCALISで男女を通じて初めて育休を取得した、記念すべき第1号です。家庭と仕事の両立に奮闘するなかで、育児から得た気づきや成長を率直に語ってくれました。
育休は“自然な選択”でした
「育児は夫婦でするもの。だから“育休を取るのは当たり前”って感覚でした」。
笑顔でそう語るのは、ARCALIS創業以来、初めての育児休業制度(※以下、育休)利用者となった澤田石さん。28歳で中途入社して以来、主に分析開発部で高速液体クロマトグラフィーや質量分析装置を用いた業務を担ってきました。mRNA医薬品の可能性に惹かれ、2022年にARCALISの門を叩いたそう。
翌年には第一子を授かり、“子どもができたら育休を取る”と以前より考えていたこともあり、すぐに人事部と上司へ取得の意向を伝えた。
「当時は創業間もない頃で、ARCALISでの育休取得者は私が初めてでした。しかも男性社員が育休取得第1号と珍しい状況だったのですが、周りには子育て経験がある女性社員の方が多かったこともあって、取得に否定的な方はいませんでした。むしろ、“ちゃんと子育てするんだよ!”と、背中を押してもらったように思います(笑)」。 制度の説明や申請手続き、業務の引き継ぎ──育休取得者の前例がない中ですべてがスムーズに進んだ背景には、会社の手厚いサポートがあったという。「人事部から“そろそろ育休取るタイミングだよね?”って声をかけてもらい、上司にも業務内容や優先度だけ伝えたら、あとは全部汲み取って調整してくれて。本当に敷いてもらったレールに乗っかるだけでした(笑)。不安なく育休に入ることができたので、恵まれた待遇と環境に感謝しましたね」。
夫婦でつないだ、育児のリレー
育休の直前には、“育児の引き継ぎ期間”を設けるひと工夫も。「妻が早めの職場復帰を希望していたため、2人で時期をずらして育休を取ることにしたんです。妻は生後8ヶ月まで育休を取り、その最後の1ヶ月間に、私はヘルスケアサポート休暇や有給などを適宜取得し、妻にいろんなことを教えてもらいながら、育児生活を段階的に引き継ぎました」。
夫婦でしっかりバトンをつないだのち、生後9ヶ月目からは澤田石さんの“完全ワンオペ”がスタート。お子さんとの暮らしは、想定外の出来事の連続で、一筋縄にはいかなかったと振り返る。「家事は普段からやっていたけど、赤ちゃんと一日中一緒に過ごす生活はやっぱり別次元でした。ごはん、散歩、お風呂、寝かしつけ…ほとんどひとりでこなして。不安もあったけど、体調が悪かろうがやるしかない。“とにかく自分がやらなきゃ”って気持ちで、必死でした」。
特に夕方、奥様の帰宅直前の1時間が山場だったそう。「母乳が欲しくて泣くんですよ。でも私じゃどうにもできない。どう気を紛らわせるか、毎日いろんな手を尽くしていました」。
そんな慌ただしい日々の中でも、子どもの小さな変化は何よりの喜びだったと顔を緩ませる澤田石さん。「成長度合いが、やっぱり大人とは全然違うんですよね。1日ごとに出来ることが増えていく。明らかに自分の興味に合わせて言葉を発したり、表情や目線を変えたりしていく姿は、本当に面白かったし、すごく感動しました。今でも、一挙手一投足が愛おしいですね」。
共働きで育児と仕事の両立
育児モード全開の3ヶ月が過ぎ、いよいよ育休明け。「子どもともっと一緒にいたい、会社に行きたくないなあって思いました(笑)」と語るように、少し寂しさを感じながらの復職だったそう。「4月に復帰したのですが、同じ部署には中途採用の方も何名か入社されていて。会社を休む前と後で、社員の顔ぶれが違ったので、少し緊張しました。育休中は業務連絡が来ることもなく、完全に仕事から離れていましたが、そこのブランクについては、不思議と不安はなかったですね。会議の議事録やメールやチャット等で仕事の進捗を追ったり、mRNA業界の現況を把握するために情報収集したりするのは少し大変でした。ただ一番戸惑ったのは、復職してすぐに7月の学会発表に出ることが決まったことですかね(笑)」。
復職後は、とうとう共働きでの育児生活がスタート。保育園の入園も無事決まり、9時〜10時半の間で出社、17時45分退社が基本スタイルになった。「コアタイムなしのフレックス制に加え、有給は1時間単位で取れるので、柔軟にスケジュールを組めて助かっています。
2ヶ月に1回くらいは保育園から“熱が出ました”と連絡がくるのですが、そんな時も“お気をつけて~”と快く送り出してくれる職場ですね。学会の準備で忙しかった時期には、休日に数時間だけ在宅勤務したこともありました。こんなに好き勝手使っていいんだろうかっていうくらい、会社の制度をフル活用していますね。ARCALISを辞められない理由の一つですよ(笑)」。
ただ、育児と仕事の両立で悩む場面もあるのだとか。「保育園のお迎えや夕飯の準備もあるので、17時45分退社は鉄則なんです。ちょっと残業してもう少しキリのいいところまで仕事しよう、ということが出来なくなったので、その辺は少しモヤモヤするところですかね。好きなことを仕事に出来ているので、仕事をし始めるとやっぱり楽しくて、モチベーションもあるんです。そこはちょっと歯車がうまく回ってないところで、今後の課題ですね」。
育休がくれた“強さ”と“余白”
育休を経験して良かったことを聞くと、「心に余裕ができて、強くなれたこと」という答えが返ってきた。「やっぱりワンオペが良かったですね。誰にも頼れない中で、全部やりきったことで、自分のなかに“育児ができている”っていう自信が持てました。妻も僕も一人で子どもを見られるので、予定も組みやすくなりましたし、一人でも外出の予定を入れたりするなど、生活の選択肢が増えた気がします」。
そして育児によって、理不尽に対処する力も身についたと微笑む。「子どもって本当に理不尽なんですよ(笑)。でも毎日それに向き合っていると、世の中へ寛容になったというか、許せる範囲が増えて、人としても成長できましたね」。
澤田石さんが育休取得後、男性社員の育休取得者が続いているという。「初めてだからこそ、しっかり取って次へつなげたい気持ちがあった。家庭の事情は人それぞれなので、家族でよく話し合って決めるべきだと思いますが、私は“取ったほうがいい”と思っています。仕事は代わりがきくけど、親の代わりはいないので。もし周囲の人から反対されたら、私が説教しに行きますよ(笑)」。
今後の目標について尋ねると、心強い答えが返ってきた。「製薬企業からmRNAのCDMOとして選んでもらえるように、質の良いmRNA医薬品を作れるよう、少しでも力になることができればと思っています。社会にインパクトを与える仕事がしたいですね」。プライベートでは、夢だった犬との暮らしに向けて準備中だそう。「家も建てたので、子どもの様子を見ながら、迎えるタイミングを妻と相談して決めようと話しています。今から楽しみですね」。
仕事に育児に奔走しながらも、どこか楽しんでいる様子が印象的な澤田石さん。今日も同僚と育児トークに花を咲かせつつ、業界最先端の仕事に取り組んでいる。
奥様からのコメント
・パートナーが育休を取ってよかったこと
育児の大変さをわかってもらえたのと対応力がついたので、家事と育児の協力プレイができるようになったこと。育児に関わる頻度が対等であるためだと思うが、子どもが両方に懐いており、ママじゃなきゃダメという状況がないこと。どちらかが対応すればよい状況にあるので、一人の時間が作れるようになったこと。入れ替わりで育休をとってもらったので早く職場に復帰できキャリア的に良かったこと。
・メッセージ
育休という名前だが、全然休みではなく大変。ただ、その時期にしか見られないものがあるから楽しんで育児してもらえたらと思う。
育休自体に関しては、夫婦そろってどんどん取ればよいと思う。取るのが当たり前の雰囲気になるのが理想。医療現場(妻の職場)では、元々人数が少なくかつかつで回している現状があり(夜間の救急対応など)、気兼ねしてしまう部分(特に男性)があるのでそういうのが無くなれば良いなと思う。